三菱UFJリサーチ&コンサルティングにより実施された、企業のダイバーシティ推進への取り組みを調査したレポートです。
この調査において、『ダイバーシティ促進』を”多様な人材の受け入れや活躍促進が可能となる環境整備を行う方針あるいは取組み”と定義づけ、『女性』『高齢者員』『障がい者』『高度外国人材』『時間制約社員』『LGBT』の各カテゴリーごとに、それぞれを分析しています。
対象期間は2016年12月~2017年2月、上場会社3,693社中、有効回答数が168社となっています。
『重要だと考えられる多様性』は『属性』の多様性。
『働き方の多様性』、『能力、価値観や考え方の多様性』を抑えて、『女性、外国人などの属性の多様性』がトップ。
おそらく、『属性の多様性』はダイバーシティ施策として非常にわかりやすく、『ダイバーシティ推進の目的』の調査(以下参照)で上位に来ている『優秀な人材の雇用』、『働きやすい職場』、『社会的責任』などに直接貢献するからだと思います。
一方、『働き方』を多様化しても、組織メンバーが同質的だとあまり組織の多様化が進んだとは言えないでしょうし、また『能力や価値観』などは目に見えず、ダイバーシティの推進として成果が目に見えにくいため順位を落としているのでしょうか。
『ダイバーシティ対策の対象』は圧倒的に『女性』。
図表13から見て取れるように、企業がダイバーシティに取り組んでいます、と言った時に、それはまずは『女性の処遇』への取り組みを指すのだと思います。続いて、『障がい者』、『高齢社員』と続き、『LGBT』はたったの5.2%、『注力しているカテゴリー』に至っては0%という結果となっています。女性の力を重視し、活用するということは大事な企業施策ですが、もう一歩踏み込んでほしいですね。
『LGBTについての方針や取組み』は、まずはできるところから。
『採用面接で性別を聞かない』という項目については、51%が『該当する』と回答。ただし、まだ半数近くの企業がこのような基本的なことに対応できていないという結果です。その他、『性的指向や性自認に関わるハラスメントについての規定がある』が23%ですが回答企業の4社に1社というのはなかなかな結果です。このような、比較的簡単にできることから進めていくことが大事ですね。
結論
やはり、『ダイバーシティの推進』と言っても、まずは女性の取り扱いをどうするか、程度のというところで思考が停止しているようです。そもそも、調査対象3600超企業のうち、今回回答した168社はダイバーシティ推進という点について、意識が向いている企業のはず。それでもこの結果だと、日本企業は、すでにLGBTやそのたマイノリティを積極的に保護しつつ世界的に急成長をとげているAppleやFacebookなどを代表とする欧米系先進企業群の背中は遠く、今後の業績にも影響しそうです。
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