参議院資料『LGBTの現状と課題』と「日本が早急にLGBT権利の平等を達成すべき理由」。

2017年11月付けで、参議院常任委員会調査室より『 LGBTの現状と課題 』という資料が公表されています。

こちら、以下の構成となっており、現在日本でのLGBTを取り巻く状況についてとてもよくまとまっています。さすが、日本国家の中枢である参議院作成の資料です。

  1. はじめに
  2. LGBTとは(LGBTとは、人口規模、直面する困難)
  3. LGBTをめぐる動きと取組(国内の動き、地方における取組、企業における取組、諸外国の状況)
  4. LGBTへの差別解消に向けた法制化の動き
  5. LGBTに関する課題(教育、性自認と戸籍上の性別、LGBTと家族)
  6. 終わりに

 

LGBTの人口規模

(source: LGBTの現状と課題、参議院常任委員会調査室)

電通及び博報堂が実施した有名な調査結果ですね。それぞれ7.6%、8%となっています。そのほか、日本労働組合総連合会が2016年6月に発表した8.0%という数字もでています。

このことから、日本におけるLGBTQ人口は8.0%程度と考えられています。公的な統計等は未だに実施されたことはないので、今後世論調査などにより調査されることを期待したいです。

LGBTが直面する困難

(source: LGBTの現状と課題、参議院常任委員会調査室)

教育、就労、医療、公共サービス・社会保障の各カテゴリーでまとめられています。少し捉え方が狭いですね。これ以外にも、同性婚や海外生活での法的な関係認証、遺産相続の問題、養子の権利など、困難は山積みです。ただし、当レポートの「5.LGBTの課題」においてこのような問題についても解説されていますので、一読の価値ありです。

さて、当レポートの終わりに、筆者は以下の記述をしています。

現に生じている困難についての理解だけでは不十分であり、なぜそこに困難が生まれてい るのか、その社会的背景を考察することが不可欠である。そのためには、自ら申告しない 限りその者が当事者であることさえも把握し得ない現状において、まず正確な実情を把握 することが必要 ~。多様な性を認め、そして理解するという個々人の意識の涵養が不可欠であると思われる。 

 

その通りですね。もともと日本では、中世から近代にかけて、同性愛含む多様な性愛については寛容な国です。LGBTに対する捉え方(というか国民の間に漂う雰囲気とでもいうべきでしょうか)が変われば、すぐにLGBT先進国の仲間入りを果たすことができると思います。世界中から注目される2020年の東京オリンピックが一つの契機となるのではないでしょうか。

日本が早急にLGBT権利の平等を達成すべき理由

さて、ここからは少し私見です。

明治維新の時代、当時のリーダーたちは日本が野蛮国と見做されないために、近代憲法の制定、議会の設置、各種法整備などを早急に進め、立憲君主国家としての形を整えていきました。

これは、西欧列強から野蛮な下等国家とみなされたままであると、対等な近代国家として肩を並べることはできず、当時締結されていた不平等条約である、領事裁判権の撤廃及び関税自主権の回復が遅れることになることが主な理由でした。

このような不平等条約の存在は日本の近代化及び強国化を果たし、列強の侵食を防ぐ足かせになってしまいます。

1911年には聡明で行動力のある当時の指導者のおかげで、両不平等条約は解消され、日本は近代国家の仲間入りを果たしています。

さて、翻って現代、日本は同じ状況に直面しているのではないでしょうか。今や先進国の間では、LGBTの権利を認めることは常識。LGBTを含む、マイノリティ権利の平等を果たしてこそ現代的先進国と言えます。

日本は早急にこのLGBT不平等国家を改善しなければ、欧米諸国から先進国としての扱いを受けることはないでしょう。日本は経済規模に比べて国際社会の場で発言権が低いと言われ、この原因は日本人の英語力の不足であると指摘する声がありますが、私はそんなことはないと思います。

海外で働いている日本人はもちろん、国際社会で活躍しているような日本人の方々は流暢に英語を操ることができますし、そんな日本人は大勢います。

私はそれよりも、女性の活躍を含むダイバーシティ(多様性)意識の遅れや、LGBT含むマイノリティ権利の擁護が果たせていない事実が、諸外国にとって日本は取るに足らない、意見を聞くに値しない国として見られている元凶ではないでしょうか。

例えお金をいっぱい稼いでいて、国際機関に多額を寄付していても、諸外国から尊敬を得ることはできません。例えば、私たちを取り巻く生活の中で考えてみてください。どんなにお金をたくさん稼いでいてで、いっぱい使ってくれる人がいたとしても、その人の信条や人柄がくだらない場合は、そのお金持ちの言うことに心から従うことはできないし、尊敬はできないですよね。

今の日本はそんなくだらない金持ちのようなものでしょう。国際社会において他国からの尊敬を得て、現代的先進国家として認められるためにも、LGBT権利の平等を確立することやダイバーシティを活用していくことは急務であると考えます。

世界の中で尊敬を持って受け入れられる国になれば、現在の世界的な立場での日本の凋落を食い止め、例えば外交や経済において好転するのではないでしょうか。

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