2016年7月付にて、アメリカのStartOut (*1)社がLGBT起業家の調査を実施、そのレポートが公表されています。
(*1 StartOut : アメリカにあるLGBT向けの起業家コミュニティ。LGBTビジネスの促進及びLGBT起業家のサポート活動を実施している。)
この調査は、急成長のLGBT起業家140人の起業家、87人のアーリーステージ(起業における初期段階)エンジェル投資家及びベンチャーキャピタルを主な対象とし、StartOut のメンバーである6,703人のLGBT起業家と920,696人のストレート(または不明)起業家データを比較し、参考にしているとのこと。調査の結果見えてくることは、日本でのLGBTビジネスにも参考になるのではないでしょうか。
まずは、主な調査結果を見てみましょう。
成長しているLGBT起業家の特徴は?
- LGBT起業家が事業を始めた理由として、67%は起業のアイデアへの情熱を、14%は自分が事業主になることを挙げている。
- LGBT起業家は、LGBTフレンドリーで寛容な都市において起業する傾向にある。
- 84%がHuman Rights Campaign の発表する “Municipal Equity Index”(都市平等指数)にて、もっとも平等であることを表す100%を獲得している都市において起業することを選んでいる。
- 成長中のLGBT起業家のうち、75%はソフトウェア、インターネット/メディア、消費財/レクリエーション分野での事業を選んでいる。
LGBT事業への投資家の特徴は?
投資家の中で48%が、ポートフォリオの中で少なくとも1人のカミングアウト済のLGBT事業への投資がある。とはいえ、LGBT事業への投資を意図的に行っているわけではなく、多様性を意識したポートフォリオを構築した結果である。
LGBTフレンドリーな場所に起業する
LGBTフレンドリーでない都市からLGBT起業家は出て行く傾向にあり、1百万に及ぶ雇用が移転してしまっている。
資金調達におけるジェンダー差
38%のLGBTが外部からの資金調達に成功している。しかし、女性(LBT)の70%が750万ドル以下しか調達できていない一方、男性(GBT)の47%が2100万ドル以上の資金調達に成功しており、ジェンダーによるギャップが存在してしまっている。
資金調達時にカミングアウトする?
63%が資金調達のプロセスで投資家に対してカミングアウトしている。12%は、カミングアウトが資金調達に影響することを恐れ、47%は、カミングアウトとセクシャリティは無関係だと考えている。
日本とアメリカでは、起業に関する環境が違いすぎるため、そのまま参考にすることはできません。
しかし、LGBTフレンドリーな都市に起業家が集まるという事実や、資金調達におけるカミングアウト意識、ジェンダー差における資金調達の優劣などは、日本においても参考になるのではないでしょうか。
より詳細なデータは以下の元レポートを参照してください。
StartOut Community, “New Study Sheds Light on State of LGBT Entrepreneurship in the U.S.”
https://startout.org/news/new-study-sheds-light-on-state-of-lgbt-entrepreneurs-in-the-u-s/
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