人権啓蒙NGO Human Rights Campaignは、企業のLGBT対応状況に関する評価指標である、『企業平等指数(Corporate Equality Index、CEI)』を毎年発表します。
これは、主に米国のFortune1000企業 (*1) を対象に、企業のLGBT従業員とその家族に対する会社方針、福利厚生及び実務について評価し、点数化するもの。
*1 アメリカのビジネス誌フォーチュンにて毎年発表される、ランキング。売上高公開されている企業が対象で、売上の規模ごとに順位付けされている。
2017年度は、2016年12月に発表されておりますが、LGBTビジネスを語る上でこの指標は非常に重要ですので、ここに取り上げておきます。
今回はレポートのエグゼクティブ・サマリーに記載されている発見事項の翻訳を載せておきたいと思います。興味のある方は、リンク より、全文読むことができます。
(以下、翻訳。)
15年目を迎えた2017年度の企業平等指数(Corporate Equality Index、CEI)は515社が最高レートである100%を獲得した。これはCEIの歴史の中で大きな飛躍である。CEIは、競争優位をアピールすることになり、企業の変革の触媒になる。2016年度には最高レートを獲得できなかった多くの企業が、2017年度ではキャッチアップすることができた。
CEIの評価基準は、LGBT従業員とその家族に対する会社方針、福利厚生及び実務を反映したものとなっている。処方箋を与えるというよりは、既存の会社実務において平等原理に立脚した、LGBT特有の論点を適用することを促進している。(例えば、既存の会社医療保険において、トランスジェンダーの性転換医療補助と同様、通常または慢性疾患についても保険適用するなどだ。)
CEIをガイドラインとして利用することで、企業は既存の制度や福利厚生がLGBTも含む、包括的な仕組みとなっているか確認することができ、結果的に才能がある、多様性に満ちた従業員を採用し、つなぎ留めることができる。
CEIにおいて最も重大な進歩は、広範な企業において、トランスジェンダーを含む方針が採用されてきたことだ。
- Fortune 500における82%の企業が、自社の掲げる反差別方針の中に、性自認に関する反差別を含めており、96%の企業は米国における明示的な反差別方針を掲げている。
- Fortune 500における50%の企業及びCEI評価対象企業の73%が、自社の健康保険制度にトランスジェンダーを含めて対象としている。これは2002年時点では0社、5年前と比較しても6倍も増加している。2017年度の調査では136社が新たにトランスジェンダー向けの健康保険制度を導入している。
- CEIの対象企業の86%が、職場におけるジェンダー問題を含む教育訓練制度を提供している。
- 387種の主たる事業が性転換ガイドライン及びトランスジェンダーを受け入れる実務のためのチームを採用している。
上記のような結果は、主要事業における人材が、低コストだが高リターンであること、また企業が責任を持ち将来に目を向けていることを示している。
最高レートを獲得した企業は、ほとんど全ての業界において存在し、地理的にも全米中に見られる。グローバル企業(57%が該当)ではほぼ全ての企業(98%)が、性的指向や性自認に係る職場での保護を、全世界レベルでも採用している。
最高レートを獲得した企業が平等の名の下に行った手厚い投資に加え、2017年度の調査では、新しい事業を含む、幅広い産業での対応が見られた。今年度は、72の新しい産業が調査に参加したのだ。結局、5228社が、CEIの評価を受けることとなった。
この調査レポートは、HRC Foundationに提出され、検証されたデータと、回答がなかった企業に対する独自調査を反映したものである。
HRC Foundationは、職場におけるLGBT従業員の平等を促すために、数多くの企業と協働している。
(以上、翻訳。)
Fortune1000のうち、TOP20のスコアは以下の通りです。多くの企業が最高スコアの100か、それに近い高いスコアを獲得しています。この中には残念ながら日本企業は入っていませんが、Fortune1000のランキング全体では出てきます。(TOYOTAやSONYなど最高スコアを獲得している企業は沢山あります。)
外資系含め、LGBTの就活・転職時に参考にするといいのではないでしょうか。
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