外国にはこんなにたくさん存在する。LGBTをオープンにして活躍している企業幹部ランキング。

LGBTコンサルティング会社のOUTstandingがファイナンシャル・タイムズ誌と実施した調査『LGBT+ executives and allies list 2017』が発表されました。今年で5回目となるこのレポートは、世界のビジネス界で活躍するLGBT及びLGBTサポーターを影響度に応じてランキングするもの。

OUTstandingは調査の趣旨を次のように説明します。

OUTstanding was founded to prove that LGBT+ executives could be visible, safe and successful in business, but our employees don’t stop being who they are when they walk out of the office door; we must be visible in our support at all times, in all places.

OUTstandingはLGBTの経営者(Executives)がカミングアウトしてもビジネス.        の世界で、安全で成功できることを証明し、従業員がオフィスの外に出た時だけ本当の自分になるという状況を変えるために設立されました。私たちはどんな時でも、どんな場所でもVisible(LGBTとして振る舞える)になるべきです。

That’s why our lists are so important. We need to prove to the world that you will not be held back or live in fear of discrimination because of who you are. Our lists go a tremendous way in normalising the experience of being LGBT+ in the workplace.

その理由から、このリストはとても重要です。我々OUTstandingは、LGBTだからと言って差別の恐怖を感じたり、隠し事をする必要がないことを世界に証明します。このリストは、職場におけるLGBT+の様々なロールモデルを提供します。

今回のリストは、次の4つのカテゴリーから構成されます。

・TOP100 LGBT+ Executives 2017 (LGBT+の経営陣)

・TOP50 Ally Executives (LGBT支持の経営陣)

・TOP50 LGBT+ Future Leaders(LGBT+の未来のリーダー)

・TOP20 Leading LGBT+ Public Sector Executives(公共セクターにおけるLGBT+の経営陣)

リストには、今もっとも有名で影響力があると考えられるオープンリーゲイのApple社CEO、ティム・クック氏が、100位圏外となっているのが腑に落ちません。ランキングを見ていくと、上位に来ているのはカミングアウトしているLGBTでありながら、多くのLGBT権利活動をしている人がほとんどであり、ただカミングアウトしている有名企業のCEOというだけでは対象外なのかも知れません。(もしくはOUTstanding社とApple社の間で大人の事情があるかも知れません。。)

とはいえ、ランキングには日本ではまだまだ知られていないパワフルLGBTのビジネスマンが多く登場します。残念ながらアジアからはほとんどランクインしておらず、TOP10では香港のレズビアン女性が1名のみ。日本人はTOP100に2名です(54位にコンサルティング会社Eanst&YoungのMoriaki Kida氏、80位にドイツ銀行のMasa Yanagisawa氏)。今後日本でも、LGBTのカミングアウト環境が改善され、パートナーシップ法なども整って来ればLGBTの経営者が多く登場してくるとは思いますが、この際に諸外国で活躍しているLGBTがロールモデルになるといいですね。

それでは、今回は、上記のLGBT+の経営陣TOP100から、上位10名を紹介したいと思います。

(画像はOutstanding HPより引用しています。)

1 . Alan Joyce・カンタス航空・CEO

オーストラリアの航空会社、カンタス航空(Qantas)を率いるアイルランド出身の51歳。カミングアウトしているオープンリーゲイで、1999年よりニュージーランド人のパートナーとシドニー郊外に住んでいます。カンタス航空に好調な業績をもたらしているのに加え、社内にLGBT+のネットワークを作ったり、社外においてもLGBTの権利運動に協力したりと、LGBTコミュニティへの貢献が評価されています。

2. Stacey Friedman・JPモルガン・チェース・法律顧問

言わずと知れた米金融大手JPモルガン・チェースの法律顧問を務めるStecyもオープンリーレズビアン。LGBT+ Executive COuncilの創立メンバーでもあり、LGBTの人々の間のロールモデルとして活躍。国立法律経済司法センター (National Center for Law and Economic Justice) の役員も務めるなど、LGBTを超えて正義のために働いています。

3.  Jim Fitterling・ダウ・デュポン・COO

世界的な科学メーカー米国ダウ・デュポン(DowDuPont)の材料科学部門を率いるCOO。職業人生の30年間をクローゼットゲイとして過ごしてきたものの、2013年にダウの全社員50,000人に向けてカミングアウト。それ以降、LGBT従業員のメンタリングや、LGBT組織の設立、CIO(Chief Inclusion Officer, 多様性、ダイバーシティを推進する最高責任者)のポジション創設などを通じて、名門DowをLGBT+フレンドリー会社へと導いています。

4. Gigi Chao・Cheuk Nang Holdings Limited・取締役副会長

Gigiは1979年生まれ、香港の大手不動産開発会社Cheuk Nang Holdings(卓能集団)創業者の娘です。同社の取締役副会長を務めるGigiはオープンリーレズビアンで、女性パートナーと結婚、また、LGBT+向けの多くの社会活動に参加し、LGBT権利について積極的に啓蒙しています。

かつて会社創業者の父親が、Gigiに求婚し、結婚まで至った男性に対して50億円を報奨金として支払うことを発表。これに対してGigiはレターを公開。

”Dear Daddy, you must accept I’m lesbian” (親愛なる父へ、私はレズビアンってことを受け入れるべきよ。)

Rainbow Info

5. Dr. Vivienne Ming・Socos LLC、マネージングパートナー

教育科学分野のビッグデータ分析サービスを提供するベンチャー企業SOCOSの共同創設者であるVivienne Ming博士はレズビアン。彼女は、SOCOSの他にも人材系テックベンチャーであるGildを創業し、採用システムからバイアスを除去するAI(人工知能プロダクト)を提供するなど、時代の最先端分野を走るスーパーレズビアン。数々のLGBT団体で要職を務めてもいます。

6. Inga Beale・Lloyds’s・CEO

1963年生まれのキャリアウーマンInga Bealeは、保険大手のLloyd’s社を率いるバイセクシャル。30代までは女性のラグビーリーグであるロンドンのWasps*Wasps Ladies Football Club)でプレーしており、その実力は世界レベルだったとか。2013年にスイスの宝石デザイナーPhilippe Pfeifferという男性と結婚しています。バイセクシャルであるものの世界的ほけん会社のロイズをLGBT+フレンドリーな企業に導き、社内外ではLGBT+のみならず、女性のロールモデルとして活躍。

7. Martine Rothblatt・United Therapeutics Corporation・CEO

米国NASDAQ市場に上場する同社を創業したMartine Rothblattはトランスジェンダーの62歳。弁護士であり、複数の会社を創立したシリアルアントレプレナーでもあります。黒人女性との間にもうけた4人の子供を育てます。大学では宇宙関係の研究をしており、その分野での起業もしているため、興味は地球の外にあるようです。自分の会社を創業する前にも、弁護士事務所で活躍したり、NASAにヘッドハンティングされたりと素晴らしいキャリアです。40際の時にトランスジェンダーであることをカミングアウトし、名前も女性名であるMartine Aliana Rothblattに変えました。それ以来、トランスジェンダーの権利について提唱しています。

優秀で壮大な夢を持つ人にとって性別など関係なく活躍できるということを体現しています。

8. Jan Siegmund・ADP・CFO

ADPは米国NASDAQに上場するHR(人財)マネジメントの関係のソフトウェア及びコンサルティングサービスを提供する会社。Janは、同社の最高財務責任者として、LGBT活動をサポートしています。

9. Dr. Siobhan Martin・マーサー・Executive Director

世界的なHR系コンサルティング・ファームであるマーサーの上級取締役を務めるSiobhanは同社のLGBTネットワークをサポートし、また、世界的なLGBTイベントである『Coming Out as an Ally』などのホストとして活躍。

10. David Hynam・Bupa・CEO

個人向け医療保険などを手がけける老舗のヘルスケアサービス企業Bupa UKのCEOを務めるDavid Hynamはオープンリーゲイ。Bupaの前にはFriends LifeのCEOなども歴任しています。

最近彼に関するちょっと興味深い事件が報じられています。というのも、三角関係のもつれにより、彼のキャリアが脅かされるという事件。2017年9月15日に英国テレグラフ誌が報じたところによると、JPモルガンの銀行家であるPaul Blightという人が、Hynamの長年の恋人と一夜限りの関係の後フラれたことを根に持って、Bupaの取締役会に悪意ある手紙を送りつけたというものDavidは調査対象となり業務は一時停止、失職の危機に陥りました。結局Blightのヘイトクライム(憎悪犯罪)であると判決され、Blightは4ヶ月(執行猶予12ヶ月)の金庫及び150時間の無償奉仕、735ポンドの罰金、2年間はHynamとその恋人に近づかないことを宣告されました。Telegraph UK 

活躍するLGBTともなると、色々なリスクもやってくるのでしょう。色恋沙汰に巻き込まれずに、ますますLGBTの希望の星として活躍してほしいです。

OUTstanding

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