1963年にマレーシアから独立し、シンガポールを世界で最も裕福な国の一つに導いた英雄リー・クアン・ユーの孫であるリー・フアン・ウー(Li JHuanwu)がゲイであることをカミングアウトしました。
リー・フアン・ウーは31歳でゼネラルマネージャーとして働いていますが、シンガポールにおけるアウト誌(Out in Singapore)を通してカミングアウト。27歳の獣医Yirui Hengをパートナーがいることも公表。単にカミングアウトしただけではないく、シンガポールにおけるLGBTイベント(Pink Dot)をサポートするよう呼びかけています。
Pink Dotは、毎年開催されているシンガポールで最も人気のあるLGBT関連イベント。ピンク色を身にまとい、「包含・ダイバーシティ・自由な愛」の支持を表明する「ピンクドット」と呼ばれるフォームを集めることにちなんで名付けられています。
リー・フアン・ウーは、以前からFacebook上においてPink Dotのサポートの必要性を唱えてきました。今回、公式にカミングアウトすることで、シンガポールのLGBTシーンにおいてより大きな影響を与えていくことが期待されます。
ちなみにシンガポールでは、男性同性間の性行為については「刑法377A条」により違法となっています。2007年に男女間及び女性の同性間のオーラルセックス及びアナルセックスに関する法規制は撤廃されたのにもかかわらず、男性同性間の行為について維持されました。刑法377A条に違反した場合、2年以下の禁錮刑が課されます。
ただし、建国の父であるリー・クアン・ユーは公にて、度々LGBTへの理解を示しています。
2007年のインタビューでは以下のように述べています。
「同性愛に関して。それは世界中で緊張を引き起こしている。アメリカでさえも。実際LGBTは存在している。医学者に聞いたところでは、ゲイは遺伝的にホモセクシャルとして誕生する。そのためこれは遺伝子のランダムな伝達だろう。自分ではどうすることもできない。ではなぜ私たちはそれを犯罪化しなければならないのだろうか?」
「一方で、全ての社会には強固な慣習がある。キリスト教、イスラム教、ヒンドゥーや中華社会でさえも。そして私たちは今、ややこしい脱線に直面している。でもこれは脱線だろうか。遺伝の多様性ではないのか。」
「では私たちにできることは? 私の意見は、現実に合わせるべく・・・」
今回の孫は、リー・クアン・ユーの息子で現首相のリー・シェンロンの子ではありませんが、現在実質的にシンガポールを率いるリー一族からカミングアウトゲイが出てきたことは、今後のシンガポールのLGBTシーンに大きな影響を与えることが期待できます。
すでに多くのゲイクラブなどが存在し、実質的にLGBT解禁となっているシンガポール。形式的に残る刑法377A条を撤廃して欧米型のゲイフレンドリー国家に転換し、世界中から多様な才能を集めることで、ますます発展していく可能性があります。
むしろ、極小国家であるシンガポールの生き残る道は多様性を促進して世界中からタレントを集めること以外にありえないと思うのです。
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