HIV予防薬の普及によりコンドームの利用が減っているという調査結果。(豪州)それでもコンドームは利用しよう。

医学雑誌の『Lancentジャーナル』が発表した最近の研究結果によると、HIV感染予防薬PrEP(*)の利用者増はコンドームの利用の低下を招いているということが判明しました。

(*)HIV治療薬の1種であるツルバダ(Truvada)の曝露前予防薬(PrEP:Pre-Exposure Prophylaxis)としての使用すること。効果を維持するためには毎日摂取する必要があり、また感染防止率は80%~90 %と言われており完全な予防ではない。

この調査はオーストラリアの2大都市シドニーとメルボルンで実施。オーストラリアではPrEPが認められていており、その利用は過去数年で急速に拡大、今年の4月には連邦政府がPrEPに対して補助金を支給することを認可しました。

研究の著者は、コンドーム利用率の低下は単にPrEP導入による影響のみではないと前置きしながらも、コンドームの利用を推奨します。

1980年代のエイズ禍から長年経って、HIVに対する警戒は薄れているものの、「男性と性交渉する男性」における定期的なHIV検査は一般的になっており、HIV感染者も適切な治療を行うことで、HIVウィルスを検出できない状態で性行為に及ぶためHIVの新規感染を防げているとのことです。

一方で、PrEPの普及によりHIV以外の性感染症が増加しているという副作用も。確かにPrEPはHIVの感染対策のみに有効であり、他の性感染症についてはコンドームの使用がかかせません。

HIV啓蒙団体のACONは、PrEPを利用するゲイ男性に対してコンドームの利用、性感染症の定期的な検査を推奨します。

「性感染症の検査と診断は感染者の数の(統計的な)増加につながるが、性病が広がることを妨げることになる。」

「PrEPの利用は性感染症の増加の原因にはなってしまい、公衆衛生政策としては良くはない。」

「ただし、多くの研究が示しているように、PrEPはHIV感染を防ぐ最も効果的な予防策である。」

「大事なことはゲイ男性がどんな時もHIV予防策を取り続けることが、現代的な手段としてPrEPも含まれる。治療が不可能なHIV感染は公衆衛生において最も重要な項目であるのだから。」

米国でもPrEPの認可は進んでいます。

hiv治療薬のツルバダ、感染予防薬として10代青少年への処方が可能となる。(米国)

 

日本ではまだPrEPの利用は認められていませんが、通常の医薬品のように欧米での普及後、上陸する可能性は高いでしょう。その場合でも、引き続きコンドームの利用は欠かせませんね。

Gay Star News

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