45歳以上のゲイ男性半分以上が独身という調査結果。(米国)それは幸せか?

米国退職者協会(AARP, American Association of Retired Persons)が3月に発表した調査によると、45歳以上のゲイ男性のうち、57%が独り身であることがわかりました。これはレズビアンの39%やバイセクシャルの48%と比べても高い割合です。

これは米国50州で、1,782人のLGBTに対して実施されたもの。

「以前に比べれば、良い関係にあるゲイ男性は増えている。」

英国のジャーナリストで『ゲイであり、幸せになる方法(How to be Gay and Happy)』の著者であるマシュー・トッドは説明します。

「もちろん、自分がそれを望むのなら一人身でいることは全然問題ないよ、ただ、僕が出会った多くのゲイは、大切な人と一緒になりたいと思っているにもかかわらず、そんな人を見つけることができていないんだ。」

ゲイ男性は孤独になりがち

AARPの調査は恋人関係ではなく、歳をとるにつれて直面する問題について調査する趣旨でした。調査によると、ゲイ・レズビアン問わず、歳をとった後のサポート体制に懸念があり、特にゲイ男性は孤独に生活しがちということがわかりました。これはすべての人間関係ーつまりLGBTの友達、ストレートの友達、両親や近所の人も含みます。

恋人の有無についての調査においてゲイとレズビアンで状況が異なっていることは、熟年ゲイのみならずすべての年代に言えることで、特段驚くべきことではありません。

Community Marketing &Insightsが2017年に公表した調査結果によると、17,000人の参加者のうち、69%のミレニアル世代(1980年以降に生まれた世代)のゲイ及びバイセクシャル男性が一人身でした。これはレズビアンとバイセクシャル女性の54%よりも高い数値になっています。

すべての人は初めは独り身ですが、レズビアンやバイセクシャル、ストレートは長年のパートナーを見つける傾向がありますが、種々の調査結果が示すように、ゲイ男性はこの限りではありません。

ストレートと比べた場合

同性婚が合法化される以前、2010年に実施された米国の国勢調査によると、30歳で結婚しているミレニアル世代は3人に一人、この割合はもちろん年齢が上がるに連れて上昇し、50歳では3人に2人以上が結婚しています。

2011年に英国のLGBT慈善団体であるStonewallが実施した調査では、55歳以上のゲイ及びバイセクシャル男性はストレート男性に比べて3倍独り身である割合が高いという結果でした。ちなみに、ゲイ・バイが40%に対して、ストレートは15%。

一時点を切り取っただけなので、たまたまパートナーがいないタイミングだったから、以前は長く付き合っていた恋人がいたという可能性もありますが、各種の調査が示すように、それでもやはりゲイ男性はストレートに比べて独り身である可能性が高そう。その理由はなぜでしょうか。

自分の感情に恥ずべきと教えられているから

恋人の関係を見つけ、育んでいくのは簡単ではありません。ましてや、ゲイカップルのロールモデルが極端に少なく、ストレートのものだらけであったらどうでしょう。また、パートナーに対する愛情を公共の場で示すことに不安が感じるような状況であるなら?

「現在の社会でゲイとして生きていくことは、自尊心に深い傷を負う原因となる。」

前出のトッドは説明します。

「身体というレベルを超えて、自分以外の誰かと本当に触れ合うことは、そのひととつながることを意味する。もしそれが恥ずべきことだけど、逃げられないものであれば、それは恐怖となる。これが僕の経験だ」

「男は自分の感情についてあまり語りたがらない。だけど、感情に蓋をすることは逆効果だ。関係がうまくいかなかった後、僕は『カジュアルセックス(体だけのセックス)のメリーゴーランド』に乗って、自分が十分出なかったて気持ちを麻痺させようとした。」

「痛みをヤワラセグことができるという意味で、カジュアルセックスは酒やドラッグのように強力だ。それは楽しいこと。ただ、ある朝目が覚めて、自分が10年間も日曜日の朝に一緒に寝そべる恋人もいない独り身だと悟ったとき、それは本当に辛いんだ。その痛みを和らげるために、また出会い系アプリを開いてしまう。いつでも問題は自分自身だ。私たちの多くが、一番大事だと思うことを忘れるためにカジュアルセックスに溺れてトラウマを和らげようとしている。」

セックスへのアクセスが容易であることは落ち着いた関係の役には立たない

出会い系アプリの影響を強調する別の専門家は精神科医のトニー・オルテガだ。

Grindrなどの出会い系アプリの影響をこの議論の中で見落とすることはできない。ゲイコミュニティの中で恋人がいないという状況になるのは、このアプリが、『数メートル先にもう一つのベストな選択肢があるよ』と焚きつけるからではないか。

「膨大な他の選択肢に、いとも簡単にアクセスできてしまう時、どうして一人の人恋人にコミットメントできるっていうんだ?」

「僕らは莫大な時間を無分別に過ごしていて、どうやってデートするか、さらに出会う人について、セックスのポジション以外のことについて知ることすら忘れている。アプリに対して何か文句をいうつもりはない。僕だってそれに関しては罪を追ってるんだし。ただ、アプリは 本物の関係を構築するスキルを弱めてしまっている。」

「もちろん、多くの選択肢があるものの、それは十分でないってこともわかってる。ストレートの人々に比べて、ゲイは絶対数が少ないのだから。これは、都会では関係ないかもしれないが、田舎に行けば替えのきくパートナーの数は少なくなる。こんな環境の中では、出会い系アプリは非常に有益だ。」

本文ではこの他、

・記事の元である米国において同性婚が比較最近合法化されており、結婚を前提としたような真剣な付き合いが難しかった。

・40代以上のゲイの中には、自分のセクシャリティに気がつくのに遅れたため、人生の後半でゲイとして活動始めた。

・エイズ禍で、恋人や候補を失った。

・精神的にも経済的にも、肉体的にも(セックス相手が見つかるという意味でも)一人で生きていける。

ゲイ男性はストレートの間では一般的な一夫一婦制(ゲイであれば一夫一夫制かな)ではなく、『別のより良い関係』を求める傾向にあるとのこと。例えば、ゲイのネットワークを広げながら、体だけの付き合いの相手を楽しむというような。

若いうちはいいけれど、年を取った時に思い出を共有できる人がいないのは寂しい気がしますね。セックスの相手だって年が行けば行くほど見つけにくくなるだろうし。

やはり、本当に好きな人と一緒に歩んで生きたいものです。

Gaystarnews

 

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