LGBT経営のための経団連レポートが非常に勉強になる。

経済界の重鎮的組織、経団連がLGBTに関する調査レポート『ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて』を発表しています。2017年5月ですので、少し時間が経っていますが、報告内容は非常に有意義。

経団連のような政治力のある経済団体が、LGBTへの取り組みの重要性を理解しているという点でも、今後に日本におけるLGBT受容という意味で非常に前向きに捉えられます。

ダイバーシティの必要性

このレポートの中で、ダイバーシティ・インクルージョンの重要性として(1)超スマート社会の到来、(2)グローバリゼーションの深化、(3)人生100年時代の到来の3つをあげています。すなわち、最先端技術の急速な普及やグローバル化の進展により、従来の「同質的なチームワーク」では企業は生き残ることはできず、多様な人材を登用した「異質なチームワーク」によるイノベーションが必要であるということ。また、寿命が長くなることによって、年齢に縛られない人材の活用が必要であり、従来の硬直的な人事制度を脱却して、年齢や性別に縛られないダイバーシティ経営を推進すべき、と説明します。

本来的には、本当の意味で重要なダイバーシティとは、経験や価値観など『視点のダイバーシティ』ですが、そのような価値観や経験の違いは、LGBTや年齢層というような『属性としてのダイバーシティ』から由来するのもまた事実。LGBTダイバーシティ・インクルージョンを推進する必要性はかなり高いです。

ダイバーシティ推進の効果

また、ダイバーシティ・インクルージョンを推進する効果として、以下をあげています。

(1)幅い広いプールからの人材獲得と退職の抑制

(2)働き安い社内環境の整備による生産性の向上

(3)自社ブランド価値の向上

(4)法的リスク回避と社員の人権保護

(5)ビジネスの拡大

LGBTフレンドリーを打ち出すことで、顧客・社員に好印象を与えることができます。また、法的保護が十分とは言えないLGBTのサポートを打ち出すことで、社内のコンプライアンス意識を向上させることができます。さらに、LGBT社員にとっては、自身のセクシャリティを隠しながら生活するのは想像以上にエネルギーを使うので、そこを取っ払ってあげることで生産性の向上まで期待できてしまうという、メリットをあげればキリがありませんね。

具体的な取り組み例

レポートでは、企業が実際に取り組めるLGBT施策を紹介します。

(1)性的指向・性的自認に基づくハラスメントや差別の禁止を社内規定に明記

(2)人事・福利厚生制度の改定

(3)社内セミナー等の開催

(4)社内相談窓口の設置

(5)ハード面での職場環境の整備

(6)採用活動におけるLGBTへの配慮

(7)LGBTに配慮した商品・サービスの開発

(8)社外イベントへの虚力、NPO法人等への連携

経団連に加入しているような、日本を支える歴史ある大企業がこのレポートを参考にLGBTインクルージョンな経営を進めていくことを期待したいですね。

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