ここ数十年でカンボジアにおける同性愛事情はかなり改善され、同性カップルは、家族やコミュニティから「非常に受け入れられている」と感じているそう。
カンボジア人権センター(Cambodian Center for Human Rights)は、自国における同性カップルの社会学的考察である、『最近カンボジアのレインボーファミリー ~ 王国における結婚、養子及び性自認に関する権利』を発表。
122人以上の同性カップル、地域の当局及びカンボジア政府の担当者が登場し、今まで決して明らかにされてこなかった、カンボジアにおける同性カップル事情が語られました。
カンボジアでは同性婚はまだ認可されていないものの、多くの同性カップルが地域当局より、例えば地域行政機関から『家族手帳』を交付されるなど、法的な権利を認められているとのことです。
例えばPichとChendaは小さなコミュニティにおける最初のレズビアンカップルで、次のように語ります。
「私たちはコミュニティの中で初めのうちは隠していたけど、そのうちオープンにしていった。初めはコミュニティの人たちは私たちを差別して、尋ねてきた。『なんで女性が他の女性と愛し合っているんだ』ってね。」
「彼らは、コミュニティにおける最初のレズビアンカップルだから驚いていた。だけど、次の世代で少し増えていって、次第に差別的ではなくなり、私たちを理解するようになったの。」
同性婚ができてしまう?
カンボジアの同性カップルの99%が、パートナーをトランスジェンダー、またはgender-non conforming (性別が確定していないと考える人)と考えています。
カンボジア人権センターによれば、これは重要な意味を持ちます。何故なら法的な観点からは、カップルがこのような認識である場合、カンボジアの性自認に関する法律にのっとると、彼らはカンボジア婚姻法の改正なしに結婚することができるため。
レズビアンカップルのSryleakさんは言います。
「私たちは『家族手帳』を持っているけど、私たちのことを夫と嫁、と記載しているの。」
「私のパートナーが夫で、身分証明書でも彼を男性と記載している。別に性別について変更を依頼したわけでもないのに。」
「当局はただ、そうしたの。何故ならコミュニティの全員が彼を男性だと認めているから。だって彼は男性の服を着て、髪の毛だって短くして、まるで男性だもの。」
「私の旦那は字が読めないの。だから彼は自分の身分証に何が書いてあるか知らなかった。私が教えてあげたら、とても喜んで笑っていたわ。」
法的権利の理解不足
今回の研究で明らかになった不安要素は、同性カップルが自身の法的な権利を理解していないということ。
インタビューした80%のカップルは、パートナーの関係にあれば、お互いの資産については平等の権利を有していると考えており、77%は、カップルの片方が死去した場合パートナーの資産を相続できることが法的に認められていると考えていますが、実際そのような法的権利はありません。
カンボジア人権センターは、この認識不足は、同性カップルを非常に弱い立場に追い込むことになると説明します。
養子
カンボジアでは、法的には、結婚したカップルにのみ認められています。しかし実際は多くの同性カップルが子供を養育しています。
3分の2以上の養子は、法律に基づかない、非公式の契約に基づくもので、多くのカップルは親族のメンバー、例えば甥や姪を育てています。
子育てはカップルにとって重要なことだ、と回答する同性カップルは80%以上に昇ります。
「私は3人の子供たちを養子にとったの。コミュニティの一番偉い人が、子供達との養子縁組を認める手紙を出したわ。だけど、『家族手帳』はもらうことができなかった。」
「家族手帳は家族にとって、重要。なぜなら法的に認められるってことだから。現状では将来に対して期待できない。」
「それでも、私たちが子供たちを養子して、十分な生活水準を満たしていることにコミュニティは賞賛している。」
法律の変更
カンボジアにおいては、上述のような明るいトレンドもあるけれども、まだまだ法制度の中に、同性カップルに対する差別が残っていると、調査報告書は指摘します。
カンボジア人権センターは、法律の変更を推奨しています。例えば、性自認に対して保護する法律、同性婚の導入など、同性カップルが法的に保護されるべきものなど。
「カンボジアではLGBTIQの権利について、近年偉大な前進を遂げている。権利の平等が育っていくについれ、LGBTIQコミュニティは自信とプライドを持ち、表に出てきている。」とセンターの代表であるChak Sopheapは説明します。
「ただし、この陽の光の陰では、まだまだLGBITのカンボジア人が不足と差別に直面している。カンボジア政府は、同性カップルが平等を享受できるように具体的な法と政策を整備することが喫緊の課題だ。」
さていかがでしょうか。
カンボジアは、まだ同性婚や同性パートナーシップを法律上は認めてはいませんが、仏教国ということもあり、比較的寛容なようです。また、内戦の影響や貧困からストレートチルドレンも多く、同性カップルによる養子という観点でも、社会的必要性から暗黙の了解ということなのでしょう。
カンボジアはまだまだ発展途上国で、法整備もふわふわしたところがありますが、今後発展していけば、例えばタイのような、ゲイにとっても住みやすい国になる潜在力はありますね。
参考: Gay Star News
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