HIVウィルスの根絶にまた一歩前進か。
HIV関連組織で働いている数百人の専門家がすでに、HIV感染していても適切な治療を受けることでウィルスが非検出レベルとなっている場合は、他人に感染することはないと表明していますが、( Consensus Statement )アメリカ疾病予防管理センター(Center for Disease Control:CDC)は、この論点について確定的な声明を発表しました。
9月28日に開催された、『世界ゲイ男性のHIV/AIDS啓発デー(National Gay Men’s HIV/AIDS Awareness Day』において、次の通り公表されました。
「今日我々は、ゲイ及びバイ男性におけるHIV感染を防止するため、またHIV感染している人々が健康でいられるよう、適切な治療を受けることを確保するために、集まっている。」
「抗レトルウィルス薬による治療により、1mlあたり200ウィルスまたは未検出レベルまでウィルスレベルが抑制されている場合、性行為によりHIVが感染することはない。」
「コンドームやPrEP(暴露前予防投薬)を利用しない、数千に及ぶカップルと性行為を調査した3つの異なる研究の結果、HIV感染しているがウィルスが抑制されているパートナーから、陰性のパートナーへのHIVかんせんは見られなかった。つまり、処方された通りART治療(Anti-retroviral Therapy, 抗レトロウィルス療法)を実施し、ウィルス抑制できていればている場合は、HIV陰性のパートナーにかんせんすることはない。」
この発表に対して、誰もがHIV治療を受けられることを目指す啓蒙組織 “Undetectable=Untransmittable” (未検出=非感染)のマネージング・ダイレクターであるBruce Richmanは、「画期的な声明だ。」とコメントします。
「この瞬間を待ちわびていたんだ!CDCは今日、HIV感染者が治療し、ウィルスが検出されない状態であれば、『事実上リスクはない』ことに同意したんだ。毎日治療薬を服用すれば自分自身とパートナーの健康を守れるということを膨大なデータが示している。」
「HIV感染者とパートナーに対して、コンドームやPrEPの利用をやめるようアドバイスしているのではない。HIV非検出という事がHIV予防策における強力な選択肢であり、状況に応じて他の予防法と合わせて、または単独で使うことができる。HIVとともに生きることの意味を変え、このウィルスの流行を終焉させる力になる。」
たとえHIVに感染しても、人間の性欲がなくなるわけではなく、HIV陽性の人でも性行為は続けると思います。そのため、感染をどのように防ぐかは、重要なテーマです。その点、治療を受けていれば感染することはないとお墨付きを与える今回の声明は注目すべきものです。また、これを機に、HIV感染の不安があっても検査を受ける勇気が出なかった人が、積極的に検査を受けに行く契機ともなるのではないでしょうか。
あとは、さらに一歩進み、HIVウィルスが根治できる治療法の発見が待たれます。
コメントを残す