『企業向けLGBTI行動規範』(国連)を発表。これにより、ビジネスにおけるLGBT権利の保護は加速されるのでは?(非公式翻訳)

2017年9月付で、国際連合が『企業向けLGBTI行動規範』を発表しました。

中小企業はともかく、グローバル企業は今後、このような世界的権威のある行動規範に従って事業活動を進めると考えられます。(もちろん、それが自社の利益になることも踏まえて。)

行動規範の内容は、概ね、企業が事業活動を行う中で、全ての利害関係者の権利(LGBTI行動規範ですので、特にLGBTIの人々の権利)が侵害されないように配慮し、またLGBTIの権利を侵害しているような国・地域においては積極的に権利を保護する活動をすることを啓蒙するものです。

5つの「行動規範」中、2つにおいて、以下の文章が出てきます。

LGBTIに対する人権侵害が高いレベルで明文化されているような国、例えば差別的な法律や慣行がある国においては、企業は、LGBTIの権利が尊重されているか確認するため、より包括的な適正評価を実施する必要がある。

この文章からしても、国連はLGBTIが迫害されているような国を憂慮しており、ビジネスの力を借りて、人権侵害の状況を正そうとしていることが見て取れます。

あらゆる企業がこの規範に従って企業方針を策定し、企業活動を実施するようになることが、社会的な利益の最大化という観点から望ましいのではないでしょうか。

以下、Executive Summay (概約)及び Standards of Conduct (行動規範)の翻訳(非公式)となります。

Executive Summary (概約)

ここ10年、世界の多くの場所で、数百万のLGBTの生活に重要な進歩があった。彼らは司法制度の改革や、LGBTに対する社会的な姿勢の変化の恩恵を受けたのだ。

しかし一方で、このような進歩は局所的かつ不公平な形で、国や地域によっては全く進歩がなかったり、後退してしまっているところさえある。

73の国では未だに合意の上での同性愛関係が犯罪とされており、トランスジェンダーを合法と認め、インターセックス(半中性的、半陰陽の人)を保護しているのは、ほんの少しの国に留まる。

ほとんどの国において、性的指向や性自認に基づく差別に対する保護が全く不十分である。

大きな前進があった国でさえ、LGBTIの人々は厳しいハードルに直面し、例えば学校では普通の生徒よりいじめられる率が高く、職場では不公平い扱われ、当たり前のサービスを利用することも否定されている。

企業は、国際的な人権基準を尊重する責任あり、会社の規模や形態、産業、地域にかかわらず、LGBTの人々を含むあらゆる人権を尊重しなければならない。

また、企業は、職場で、また事業を営むコミュニティにおいて、平等と尊敬を尊ぶ文化を促し、多様性を育む重要な役割を負っている。積極的に差別に対処し、多様性と包容を促進することは経済的な利益をもたらすことにも気づくだろう。

つまり、新たな才能を発見し、意思決定を改善し、顧客や投資家からロイヤルティを勝ち取ることができる。

2000年に国際連合は世界最大の企業の社会的責任イニシアティブである『UN Global Compact』を開始した。これは、持続可能で多様性包括的なグローバル経済に貢献し、普遍的原理を尊重することを企業に促すもである。

10年後の2011年、『国連人権会議(UN Human Rights Council)』はビジネスと人権についての原則を記した基本的なガイドラインを発表、ここにはすべてのビジネスが、人権を侵害するようなことを避けるよう呼びかけるものだ。

2015年、国連加盟国は ”leave no one behind (誰も置き去りにしない)” ことを約束した17つの『持続可能な開発目標(Sustainable Development Goalds)』を採択した。経済的な差別、疎外に取り組むことを含むこの目標達成は、政府のみではなく、市民社会やビジネスも含めた、努力の積み重ねに依るものである。

多くの企業が差別の根絶、多様性の促進に関して果たすことができる役割に気づいた上で、LGBTの包容ついて、ただ誓うことから、行動へと踏み出している。

しかし、まだまだ始まったばかりで、蓄積された知見や成功例はまだまだ少ない。LGBTを敵視しているような地域では特にそうである。

結局のところ、企業におけるアプローチはその場限りで、一貫性のないものである。グローバル企業の中には、母国でうまくいっているところもあるが、外国においてはまだまだである。比較的協力的な環境もあれば、LGBT社員への権利保護について弱い、または全くないところもある。ゲイ、レズビアン、バイセクシャルの権利を認める方針を定める会社はあるが、トランスジェンダーやインターセックスの人々を保護する施策はあるだろうか。

職場、市場、及びコミュニティのLGBTIに関する人権を尊重し、保護する方法について、実践的なガイドラインとなる『行動規範(the Standards of Conduct)』を以下に要約し、後半では内容を詳細を解説する。

これは、ニューヨーク、カンパラ、ブリュッセル、ムンバイなどの諸地域のコンサルテーション、及びIHRB (人権とビジネスに関する研究機関(Institute for Human Rights and Business) の協力の下、国連人権局が策定したものである。 企業が現状の方針及び実務を見直し、LGBTIの人々の人権を尊重し、促進するために新しい会社方針を策定するための規範である。

この規範は、現在施行されている国際人権法、及びビジネスと人権に関する国連指導原則に基づいている。

また、責任ある企業がすでに実施してきた多くの成功例を含む、説得力のある実証的な知見に基づいている。これらは、企業の方針及び実務が、既存の人権規範に沿ったものであるべき、また沿うことができることを示している。LGBTIというスペクトラム及び多様性というコンテクストの中で、微妙に差異のある、多様なアプローチが必要であることを認めている。最後に、会社と、その他多くの利害関係者〜従業員から顧客、サプライヤー、株主、コミュニテイ、政府、立法者そして労働組合など〜とのお互いの権利を認め合う相互作用を支持することを意図されるものである。

5つの行動規範

 1. 人権の尊重

あらゆる企業は、事業活動及びビジネスの関係性の中で、LGBTIの権利を含む人権を尊重する責任がある。企業は、会社方針を策定し、適性評価を実施し、企業の意思決定や活動が、人権に悪い影響を及ぼしている場合は、補正することを期待される。企業はまた、人権基準を順守しているか監督し、伝達するためのメカニズムを確立しなければならない。LGBTIに対する人権侵害が高いレベルで明文化されているような国、例えば差別的な法律や慣行がある国においては、企業は、LGBTIの権利が尊重されているか確認するため、より包括的な適正評価を実施する必要がある。

2. 差別の撤廃

従業員及びビジネスに関わる人々は、差別から自由になる資格がある。企業は、採用、雇用、労働条件、手当、プライバシーの保護、ハラスメントへの対応の中で差別がないことを保証しなければならない。

3. 支援の提供

LGBTIは、従業員、マネージャー、オーナー、顧客、コミュニティのメンバーであり、多くがまだ職場での受入ついて、恐ろしいほどの困難に直面している。企業は、LGBTI従業員が誇りをもち、汚辱を感じることなく働くことができるように、前向きで、肯定的な職場環境を提供することが期待される。この規範は、企業に平等利益についてさらに前へ進み、LGBTIの人々が、職場において必要とするものを含む、包括性を確保しなければならない。

4. 人権侵害の防止

企業は自社のサービスや製品を通じてLGBTIのサプライヤー、ディストリビューター、顧客を差別しないことを保証しなければならない。ビジネスの関係性の中で、企業はビジネスパートナーが差別されていないことについても確認する必要がある。ビジネスパートナーがLGBTIの人々を差別していた場合、企業はその差別を防止する方法を見つけ出さなければならない。ビジネスパートナーの製品やサービス、関係性の中で示される、暴力、いじめ、脅迫、虐待、暴力の煽動、その他LGBTIの人々に対する悪態などの差別を防止するため前向きに対処することを期待される。企業はまた、LGBTIの顧客が自社の製品及びサービスを利用できることを保証しなければならない。

5. 公共の場での行動

企業は、事業活動を行う諸国における人権侵害の防止に貢献しなければならい。そのために、企業は地域コミュニティ及び団体と密に連絡し、LGBTIの人権を侵害している法的フレームワークや既存の慣習の中で、企業が着手できる建設的なアプローチを見出すべきである。例えば、公共への啓蒙、共同行動、社会的な対話、LGBTI権利を提唱する団体への経済的、物的な支援、権利を侵害する政府への政策、行動への対抗などが含まれる。LGBTIに対する人権侵害が高いレベルで明文化されているような国、例えば差別的な法律や慣行がある国においては、企業は、LGBTIの権利が尊重されているか確認するため、より包括的な適正評価を実施する必要がある。

以下、要約したインフォグラフとなります。

  1. 人権の尊重
  2. 差別の撤廃
  3. 支援の提供
  4. 人権侵害の防止
  5. 公共の場での行動

 

Tackling Discrimination against Lesbian, Gay, Bi, Trans & Intersex People, Standards of Conduct for Business

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です